目次
はじめに
近年、SNSや動画サイトなどで健康に関する情報があふれています。
「これをやれば腰痛が治る」「たった1分で姿勢が変わる」など、
一見すると魅力的に感じる情報も多く見られます。
しかし、現場で身体に向き合っている私たちから見ると、
こうした発信の中にはリスクを伴うものも少なくありません。
本記事では、私が整体師として活動する中で感じている「危うさ」と「可能性」、
そして「整体や健康情報への正しい向き合い方」についてお話しします。
SNS時代の健康情報に感じる“違和感”
SNS上では、フォロワー数や再生回数の多い投稿が
まるで「正しい情報」として扱われてしまうことがあります。
しかし、実際の身体は一人ひとり異なり、
「これだけやれば治る」という万能な方法は存在しません。
同じ症状でも、年齢・体格・生活習慣・既往歴によって、
取るべきアプローチはまったく違ってきます。
にもかかわらず、根拠や安全性の説明がないまま、
断定的な表現で拡散されるケースが後を絶ちません。
その結果、
- 情報を信じて実践した人がかえって症状を悪化させてしまう
- 「整体=危ない」「怪しい」と誤解されてしまう
という悪循環が生まれているように感じます。
制度の問題と、私たちができること
現状、日本では整体に関する法的な資格制度や安全基準が明確ではなく、
施術者の知識や技術レベルには大きな差があります。
もちろん、誠実に技術を磨き、根拠と経験に基づいて
安全な施術を行っている整体師も多く存在します。
ただ残念ながら、中には「短期の講習だけで開業する」「健康被害に配慮しない」
といった例も見かけます。
これは、法律で厳しく規制されていない以上、
完全になくすことは難しい現実です。
では、どうすればよいのでしょうか。
私の考えはこうです。
「制度が整っていないからこそ、良識ある発信と行動を重ねる」こと。
一人ひとりの整体師が、エビデンス(根拠)や解剖学的理解に基づいた情報を発信し、
誠実に施術を行うこと。
それに共感する人が少しずつ増えていけば、
「安心して身体を任せられる文化」は自然に広がっていく。
私はその流れを、現場から支えていきたいと思っています。
正しい情報を共有することの意味
私が日々感じているのは、
「健康のリテラシー(正しい理解と判断の力)」は誰にでも必要だということです。
SNSで流れる情報を見て、
「これは危なそう」「この場合は医師に相談しよう」
「この方法なら自分にも合いそう」
と冷静に判断できるだけで、健康被害のリスクは格段に減ります。
それは、難しい医学知識を理解するというよりも、
「自分の身体に関心をもつこと」から始まります。
家庭の中に一人でもそんな“身体のリテラシー”を持つ人がいれば、
- 家族の不調に気づける
- 無理な運動や危険な施術を避けられる
- 子どもにも自然と身体の知識が伝わる
といった、安心の連鎖が生まれます。
親が知っていれば子どもに教えられる。
そして子どもが大人になったとき、自分の家族にも伝えていく。
“身体の知識”は、世代を超えて受け継がれていくものです。
私たちが目指すもの
派手な広告やキャッチーな言葉ではなく、
「信頼される存在」であること。
一人でも多くの人が、
安心して身体を預けられる環境や人に出会えるように。
そのために、私は目の前の施術を大切にし、
誠実な情報を発信し続けています。
正しいことを淡々と続けること。
それが遠回りに見えても、
「安心して身体を任せられる文化」を育てる一番の近道になると信じています。
おわりに
整体は「技術」や「知識」を超えて、
人の身体と心に向き合う仕事です。
だからこそ、
誠実な姿勢と、正しい情報の共有が何よりも大切。
これからも、
健康に関する情報があふれる時代の中で、
“迷ったときに立ち戻れる場所”でありたいと思います。
(補足)
本記事は医療行為や専門的な診断を目的としたものではなく、
一般的な健康情報としてお読みください。
強い痛みやしびれ、症状の悪化がある場合は、
医療機関での受診をおすすめします。
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