当院に来院される方は腰痛の方が多いのですが、割合でいうと女性の方が多いです。
そして、私は腰痛がある方には必ず股関節の状態をチェックします。
それはなぜか?
腰痛に関してはいろんな原因がありますが、
今回は腰痛と股関節の関係性についてお話ししたいと思います。
目次
1 股関節の構造について
まずは、股関節はご存じでしょうか?
次の図を見てください。
どうでしょうか?
つまり、大腿骨の一番上の部分が、骨盤にはまっているところが股関節です。
そして、この部分は凹凸の「凹の骨盤側」に「凸の大腿骨の先」がはまっています。
なんとなくご理解いただけますでしょうか。
2 女性の股関節について
さて、先ほどの骨盤側の凹の部分を『臼蓋』というのですが、そこの受け皿が狭い人がいます。
その方を一般的に臼蓋形成不全と言われるのですが、男性よりも女性のほうが割合が高いです。
見てわかる通り、受け皿が狭いと関節を動かせる範囲が狭くなります!
なので、生まれながらにウィークポイントという方が多いというのは知っておいた方が良いかと思います。
3.頚体角と前捻角について
女性の股関節のほぼ続きになるのですが、股関節を形成している大腿骨の先は「頚体角」と「前捻角」というものがあります。
では、まず頚体角について。
頚体角が大きい人⇒外反股⇒X脚傾向
頚体角が小さい人⇒内反股⇒O脚傾向
になりやすいです。
これはこれで問題があるのですが、
今日は次の前捻角がポイント!
では、前捻角とは次の図を全部見ていきましょう!
上の図の説明をしますね。
この股関節というか大腿骨を上から見た図になるのですが、
簡単に言うと、
①前捻角が強い人(過前捻)⇒足が内向きに行きやすいけど、外向きに行きにくい(胡坐方向に行きにくい)
②前捻角が少ない人(後捻)⇒足が外向きに行きやすいけど、内向きに行きにくい(胡坐は得意)
そして、①は女性が多く、②は男性が多いです。
3 股関節の運動学
さて、ここからです。
さきほどの、股関節前捻角が強い人は、その角度が強いために股関節の前側が臼蓋にあまり覆われていません。
つまり不安定な適合状態なんです!
そして、人間歩くときには足をしっかりと後ろに蹴って歩きます。
しかし、前捻角が強い方は前が覆われていないから不安定なため、構造上どうがんばっても後ろに蹴りにくいです。
それどころか、うまく股関節を使えないので、
股関節周囲の筋肉が固くなってきます!
4 前捻角が強い場合に骨盤・腰に及ぼす影響
やっと本題です。
前捻角は生まれつきの構造上の問題です。
だから、どうやっても変わりません。
そして、年々股関節周囲が固くなります(特に前側)。
そうすると、
次の図のように股関節の前側の筋肉が骨盤を前傾し、前に傾けてしまいます。
そうなると、
骨盤が前に傾いたことにより
腰がどうしても反って、反り腰になってしまいます。
となると腰に負担がかかって痛みや病気につながっていくというわけです。
本来歩くときには足を後ろに蹴ります。
そして、それの多くは股関節が動きます。
しかし、それが前捻角の加減で、構造上の関係で動かない場合は、
股関節ではなく、骨盤が前傾することにより代償します。
そうすると腰が常に負担がかかります。
※赤色の丸の部分が動かず⇒赤矢印の方向に骨盤が動き⇒骨盤が青い線の位置に前傾し⇒腰が赤い線のように反ってしまう。
5 対策とエクササイズ
人によって違いますが、当院での運動や指導としては、一般的には以下のものがあげられます。
①股関節の周囲筋をストレッチ
※ただし、前面筋をどうやってストレッチするか
②股関節の可動域を出した後の筋力トレーニング
③股関節の可動域が変わることによる足関節の位置の調整
④体幹のストレッチ・筋力トレーニング
⑤歩き方の指導
⑥自主練習の指導
⑦インソール
この辺りは専門的になるので項目だけの記載とさせていただきました。
ただ、腰痛があるからと言って、腰をマッサージするだけでは絶対に良くないというのはご理解いただけたのではないでしょうか。
そして、人の身体は全員が一緒ではありません。
胡坐が組めない人もいれば、
女の子座り・とんび座りができない人もいます。
身体が固かったら運動すればだれでも関節が動くものでもないです。
筋肉であればストレッチでいけますが、骨の構造的にぶつかってしまう人は絶対に動きません。
なので、「動作によってできない人もいるんだよ」ということをたくさんの人に知ってほしいなと思います。
どうしても自分を基準にしてしまうのでね…。
この度は『みらいの姿勢整体院』の身体に関するブログを読んでいただきありがとうございます(^^)/